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処方日数制限のある医薬品一覧【令和6年(2024年)度最新版】

処方日数制限のある薬を解説

保険診療において、麻薬、向精神薬、新薬については、処方できる日数に上限が決められています。

ここでは、処方日数に制限のある医薬品を一覧にまとめました。

また、処方日数制限のある医薬品の例外的な取扱いとなるケースについても解説します。

  • 処方日数制限のある医薬品一覧(麻薬、向精神薬等)
  • 新薬14日制限の例外となるのは?
  • 長期海外旅行や長期休暇時は?
  • 長期航海に出る船員の場合は?

投薬期間に上限がある医薬品一覧

処方日数制限のある薬一覧

保険診療における医薬品の投薬量は「保険医療機関及び保険医療養担当規則」等で規定されています。

投薬期間に上限がある医薬品

  • 投薬量は、予見することができる必要期間に従ったものでなければならない。
  • 注射薬は、患者に療養上必要な事項について適切な注意及び指導を行い、その投与量は、症状の経過に応じたものでなければならない。
  • 厚生労働大臣が定める内服薬、外用薬、注射薬については、1回14日分、30日分又は90日分を限度とする。

厚生労働大臣が定める投薬量又は投与量に限度がある医薬品

  • 【14日分を限度とされる内服薬、外用薬、注射薬】
    • ・麻薬(30日を限度とされるものを除く)
    • ・向精神薬(30日及び90日を限度とされるものを除く)
    • ・新医薬品(薬価基準収載の翌月の初日から起算して1年を経過していないもの)
  • 【30日分を限度とされる内服薬、外用薬、注射薬】
    • ・内服薬
      :アルプラゾラム、エスタゾラム、エチゾラム、オキシコドン塩酸塩、オキシコドン塩酸塩水和物、オキサゾラム、クアゼパム、クロキサゾラム、クロチアゼパム、クロルジアゼポキシド、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、ゾピクロン、ゾルピデム酒石酸塩、タペンタドール、トリアゾラム、ニメタゼパム、ハロキサゾラム、ヒドロモルフォン、プラゼパム、フルジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム塩酸塩、ブロチゾラム、ブロマゼパム、ペモリン、メダゼパム、メチルフェニデート塩酸塩、モダフィニル、モルヒネ塩酸塩、モルヒネ硫酸塩、リスデキサンフェタミンメシル酸塩、ロフラゼプ酸エチル、ロラゼパム又はロルメタゼパムを含有する内服薬並びにメペンゾラート臭化物・フェノバルビタール配合剤及びプロキシフィリン・エフェドリン配合剤
    • ・外用薬
      :フェンタニル、フェンタニルクエン酸塩又はモルヒネ塩酸塩を含有する外用薬
    • ・注射薬
      :フェンタニルクエン酸塩、ブプレノルフィン塩酸塩又はモルヒネ塩酸塩を含有する注射薬
  • 【90日分を限度とされる内服薬】
    • ・ジアゼパム、ニトラゼパム、フェノバルビタール、クロナゼパム又はクロバザムを含有する内服薬及びフェニトイン・フェノバルビタール配合剤

麻薬

分類一般名
([]記載のないものは内服薬)
商品名投与制限
アヘンアヘン散・末
アヘンチンキ
14日
アヘン・トコンドーフル散14日
アヘンアルカロイド塩酸塩パンオピン末・皮下注14日
オキシコドン塩酸塩水和物オキノーム散(速放)
オキシコドン内服液(速放)
オキシコドン錠NX(速放)
オキシコンチンTR錠(徐放)
オキシコドン徐放錠NX(徐放)
オキシコドン徐放カプセル(徐放)
30日
オキシコドン塩酸塩水和物[注射薬]オキファスト注14日
オキシメテバノールメテバニール錠14日
コデインリン酸塩コデインリン酸塩末・10%散・20㎎錠30日
ジヒドロコデインリン酸塩ジヒドロコデインリン酸塩末・10%散30日
タペンタドールタペンタ錠30日
ヒドロモルフォンナルラピド錠(速放)
ナルサス錠(徐放)
30日
ヒドロモルフォン[注射薬]ナルベイン注14日
フェンタニル[外用薬]デュロテップMTパッチ
ワンデュロパッチ
ラフェンタテープ
30日
フェンタニルクエン酸塩[外用薬]フェントステープ
フェンタニル区塩酸塩1日用テープ
30日
フェンタニルクエン酸塩[口腔粘膜吸収剤]イーフェンバッカル錠
アブストラル舌下錠
14日
フェンタニルクエン酸塩[注射薬]フェンタニル注30日
メサドン塩酸塩メサペイン錠14日
モルヒネ塩酸塩モルヒネ塩酸塩末・錠・注
アンペック注・坐剤
オプソ内用液(速放)
パシーフカプセル(徐放)
30日
モルヒネ硫酸塩MSコンチン錠(徐放)
MSツワイスロンカプセル(徐放)
モルヒネ流酸塩水和物徐放細粒分包(徐放)
モルペス細粒(徐放)
30日

向精神薬

分類一般名
([]記載のないものは内服薬)
商品名投与制限
向3アルプラゾラムコンスタン
ソラナックス
30日
向3エスタゾラムユーロジン30日
向3エチゾラムデパス30日
向3オキサゾラムセレナール30日
向3クアゼパムドラール30日
向3クロキサゾラムセパゾン30日
向3クロチアゼパムリーゼ30日
向3クロナゼパムランドセン
リボトリール
90日
向3クロバザムマイスタン90日
向3クロラゼプ酸二カリウムメンドン14日
向3クロルジアゼポキシドコントール
バランス
30日
向3ジアゼパムセルシン
ホリゾン
90日
向3ジアゼパム[坐薬]ダイアップ坐剤14日
向3ゾピクロンアモバン30日
向3ゾルピデム酒石酸塩マイスリー30日
向3トリアゾラムハルシオン30日
向3ニトラゼパムネルボン
ベンザリン
90日
向3ハロキサゾラムソメリン30日
向3フェニトイン・フェノバルビタール配合剤ヒダントールD配合錠・E配合錠・F配合錠
複合アレビアチン配合錠
90日
向3フェノバルビタールフェノバール90日
向3フェノバルビタールナトリウム[坐薬]ルピアール坐剤
ワコビタール坐剤
14日
向2ブプレノルフィン[貼付剤]ノルスパンテープ14日
向2ブプレノルフィン塩酸塩[坐薬]レペタン坐剤14日
向2ブプレノルフィン塩酸塩[注射薬]レペタン注30日
向3フルジアゼパムエリスパン30日
向2フルニトラゼパムサイレース30日
向3フルラゼパム塩酸塩ダルメート30日
向3ブロチゾラムレンドルミン30日
向3ブロマゼパムレキソタン30日
向3ブロマゼパム[坐薬]ブロマゼパム坐剤14日
向3ペモリンベタナミン30日
向2ペンタゾシン塩酸塩ソセゴン14日
向2ペントバルビタールカルシウムラボナ14日
向3マジンドールサノレックス14日
向3ミダゾラム[口腔用]ブコラム口腔溶液14日
向3メダゼパムレスミット30日
向1メチルフェニデート塩酸塩コンサータ
リタリン
30日
向3メペンゾラート臭化物・フェノバルビタール配合剤トランコロンP配合錠30日
向1モダフィニルモディオダール30日
向3ロフラゼプ酸エチルメイラックス30日
向3ロラゼパムワイパックス
ロラピタ
30日
向3ロルメタゼパムエバミール
ロラメット
30日

(向1:第1種向精神薬、向2:第2種向精神薬、向3:第3種向精神薬)

覚せい剤原料

分類一般名
([]記載のないものは内服薬)
商品名投与制限
覚原リスデキサンフェタミンメシル酸塩ビバンセ30日

新医薬品

新薬は、薬価基準収載の翌月から1年間は1回14日分が限度となります。

第十 厚生労働大臣が定める注射薬等
二 投薬期間に上限が設けられている医薬品
(一) 療担規則第二十条第二号ヘ及びト並びに第二十一条第二号ヘ並びに療担基準第二十条第三号ヘ及びト並びに第二十一条第三号ヘの厚生労働大臣が定める投薬量又は投与量が十四日分を限度とされる内服薬及び外用薬並びに注射薬
ハ 新医薬品(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条の四第一項第一号に規定する新医薬品をいう。)であって、使用薬剤の薬価(薬価基準)への収載の日の属する月の翌月の初日から起算して一年(厚生労働大臣が指定するものにあっては、厚生労働大臣が指定する期間)を経過していないもの

(出典:療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等 厚生労働省告示第百七号 平成十八年三月六日

ただし、以下の場合は、新薬14日制限の例外的な取扱いとなることがあります。

  • 同様の効能・効果、用法・用量の既収載品の組合せと考えられる新医療用配合剤など、有効成分にかかる効能・効果、用法・用量について、実質的に、既収載品によって1年以上の臨床使用経験があると認められる新医薬品
  • 疾患の特性や、含有量が14日分を超える製剤のみが存在しているといった製剤上の特性から、1回の投薬期間が14日を超えることに合理性があり、かつ、投与初期から14日を超える投薬における安全性が確認されている新医薬品

(参考:中央社会保険医療協議会総会 第181回 資料(総ー4-1)平成22年10月27日

①については、既承認薬同士を組み合わせた配合剤(既収載品と効能・効果、用法・用量が同じ)など、実質的に十分な臨床使用経験があると考えられる場合が該当します。

②については、1ボトル30錠包装かつ吸湿性の問題からボトル単位での調剤となる場合など、疾患・製剤上の特性から1回14日分を超えることに合理性があり、かつ投与初期から14日を超える投薬における安全性が確認されている新医薬品が該当します。

新薬14日制限の例外的取扱いとなるかは、個別に中医協の確認を得たうえで、それぞれ以下のように取り扱われます。

  • ①の場合→新薬に係る処方日数制限を設けない
  • ②の場合→新薬に係る処方日数制限を薬価基準収載の翌月から1年間は製剤の用法・用量から得られる最少日数に応じた日数とする

投薬期間の上限を超えて処方が可能な例

処方日数制限のある薬の例外パターン

長期の旅行等の特殊な事情がある場合

1回14日分までしか処方できない医薬品について、長期の旅行等「特殊な事情」がある場合においては、1回30日分まで処方が可能です。

内服薬及び外用薬の投与量については、「保険医療機関及び保険医療養担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部を改正する省令」 (平成14年厚生労働省令第23号)により、「予見することができる必要期間に従ったものでなければならないこととし、厚生労働大臣が定める内服薬及び外用薬については当該厚生労働大臣が定める内服薬及び外用薬ごとに1回14日分、30日分又は90日分を限度とする」こととされたところであるが、長期の旅行等特殊の事情がある場合において、必要があると認められるときは、1回14日分を限度とされている内服薬又は外用薬についても、従来どおり、旅程その他の事情を考慮し、必要最小限の範囲において、1回30日分を限度として投与して差し支えないものとするので、その取扱いに遺漏のないよう、関係者に対し周知徹底を図られたい。

(出典:内服薬及び外用薬の投与量について 保医発第0404001号 平成14年4月4日

ここでいう「特殊な事情」とは、以下があてはまります。

  • 長期の海外旅行
  • 年末年始
  • 連休(ゴールデンウィーク等)

その場合、レセプト摘要欄には、処方箋の備考欄に記載されている長期投与の理由(「海外への渡航」、「年末・年始又は連休」「その他」からもっとも当てはまるもの)を記載します。

その他を選択した場合は、具体的な理由の記載が必要です。

長期の旅行等特殊の事情がある場合において、必要があると認められ、投薬量が1回14日分を限度とされる内服薬及び外用薬であって14日を超えて投与された場合は、処方箋の備考欄に記載されている長期投与の理由について、「海外への渡航」、「年末・年始又は連休」又は「その他」からもっとも当てはまるものをひとつ記載すること。「その他」を選択した場合は具体的な理由を記載すること。

(出典:「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について 保医発0327第5号 令和6年3月27日

船舶保険法(長期航海に出る船員)の場合

船舶保険法では、長期の航海に従事する船舶に乗り組む方に対し必要と認められる場合、健康保険法の規定に関わらず、航海日程等を考慮し必要最小限の範囲において1回180日分を限度として投与できることとされています。

長期の航海に従事する船舶に乗り組む被保険者に対し投薬の必要があると認められる場合の投薬量の基準は、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三十二年厚生省令第十五号)第二十条第二号ヘの規定にかかわらず、航海日程その他の事情を考慮し、必要最小限の範囲において、一回百八十日分を限度として投与することとする

(出典:船員保険法第五十四条第二項の規定に基づき船員保険の療養の給付の担当又は船員保険の診療の準則を定める省令 厚生省令第二十号 平成十年三月十六日

参考資料

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