リフィル処方箋は、医師が定めた一定期間内に繰り返し使用できる処方箋です。
令和4年度(2022年度)診療報酬改定にて新しく導入されました。
ここでは、薬局でリフィル処方箋を受け付けた際の疑問点や注意点をまとめました。
リフィル処方箋とは?

リフィル処方箋は、医師が定めた一定期間内に繰り返し使用できる処方箋です。
症状が安定している患者さんについて、医師の処方により医師と薬剤師の適切な連携のもと一定期間内に処方箋を反復利用できる仕組みで、令和4年度(2022年度)診療報酬改定にて新しく導入されました。
リフィル処方箋には、有効期間や一部対象外の薬剤があるなど、いくつかルールが設けられています。
リフィル処方箋の対象患者は?

リフィル処方箋の対象となるのは「症状が安定している患者さん」で、「薬剤師による服薬管理の下、一定期間内に処方箋の反復使用が可能」と医師が判断した患者さんです。

条件としては「症状が安定していること」のみで、対象疾患などは特に決められていません。
リフィル処方箋の対象薬剤は?

一部の薬剤はリフィル処方箋による調剤を行うことができません。
以下の薬剤は、リフィル処方の対象外となります。
リフィル処方の対象外の薬剤
- 投与量に限度が定められている医薬品(新薬、向精神薬、麻薬など)
- 鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する貼付剤
「投与量に限度が定められている医薬品」については、「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(厚生労働省告示第107号)」(平成18年3月6日)の第十の二に掲載されています。
また、ここでいう「貼付剤」とは、鎮痛・消炎に係る効能・効果を有するものであって、麻薬若しくは向精神薬であるもの又は専ら皮膚疾患に用いるものを除いたものをいいます。

湿布薬は対象外ですが、塗り薬や点眼薬などの外用薬はリフィル処方が可能です。
なお、外用薬のリフィル処方の場合、1回あたりの使用量及び1日あたりの使用回数に加えて投与日数の記載が必要です。

リフィル処方箋の記載(様式)は?

処方箋の「リフィル可」欄に「✓」が記載されていた場合、当該処方箋を「リフィル処方箋」として取り扱い調剤を行います。

また、リフィル処方を行う医薬品と行わない医薬品がある場合、1回の使用による投薬期間が異なる医薬品を処方する場合、リフィル処方箋の使用回数の上限が異なる医薬品を処方する場合は、それぞれ処方箋が分かれている必要があります。
疑義解釈
処方箋の交付について、リフィル処方を行う医薬品と行わない医薬品を処方する場合には、処方箋を分ける必要があるか。
処方箋を分ける必要がある。
処方箋の交付について、リフィル処方により2種類以上の医薬品を投薬する場合であって、それぞれの医薬品に係るリフィル処方箋の1回の使用による投薬期間が異なる場合又はリフィル処方箋の使用回数の上限が異なる場合は、医薬品ごとに処方箋を分ける必要があるか。
処方箋を分ける必要がある。
また、一般名処方によるリフィル処方箋を受け付けた場合の2回目以降の調剤について、以下のような疑義解釈が出ています。
疑義解釈
一般名処方によるリフィル処方箋を受け付けた場合、2回目以降の調剤においてはどのように取り扱えばよいか。
2回目以降の調剤においても、一般名処方されたものとして取り扱うことで差し支えないが、初回来局時に調剤した薬剤と同一のものを調剤することが望ましい。
リフィル処方箋の期限は?

リフィル処方箋の使用可能期間は以下のようになります。
リフィル処方箋の期限
- 1回目の調剤:処方箋に記載の期間内(原則、交付日を含め4日以内)
- 2回目以降の調剤:前回調剤日を起点に、当該調剤に係る投薬期間を経過する日を次回調剤予定日とし、その前後7日以内
(「前後7日」には次回調剤予定日は含まれない)
リフィル処方箋を受け付けた場合、初回は通常の処方箋と同じく処方箋交付日を含め4日以内が処方箋期限です。

通常と同じく「処方箋の使用期間」欄に記載がある場合はその日までとなります。
2回目以降は、前回調剤日を起点として、当該調剤に係る投薬期間を経過する日を次回調剤予定日とし、その前後7日以内が処方箋期限です。
具体的には、以下のようになります。

疑義解釈
リフィル処方箋による2回目以降の調剤については、「前回の調剤日を起点とし、当該調剤に係る投薬期間を経過する日を次回調剤予定日とし、その前後7日以内」に行うこととされているが、具体的にはどのように考えればよいか。
例えば、次回調剤予定日が6月 13 日である場合、次回調剤予定日を含まない前後7日間の6月6日から6月 20 日までの間、リフィル処方箋による調剤を行うことが可能である。ただし、調剤した薬剤の服薬を終える前に次回の調剤を受けられるよう、次回調剤予定日までに来局することが望ましいこと等を患者に伝えること。
また、調剤可能な日(次回調剤予定日の前後7日以内)以外の日に患者さんがリフィル処方箋を持ってきた場合は、処方箋を受け付けることができません。
疑義解釈
リフィル処方箋を次回調剤予定日の前後7日以外の日に受け付けた場合は、当該リフィル処方箋による調剤を行うことはできるか。
不可。なお、調剤可能な日より前に患者が来局した場合は、再来局を求めるなど適切に対応すること。
リフィル処方箋受付時の算定方法は?

リフィル処方箋を受け付けた際は、以下のように取り扱います。
リフィル処方箋受付時の算定方法
- リフィル処方箋による調剤を行うごとに、処方箋受付1回として取扱う
- 同一患者から同一日にリフィル処方箋を含む複数の処方箋を受け付けた場合、同一保険医療機関の同一医師によって交付された処方箋又は同一の保険医療機関で一連の診療行為に基づいて交付された処方箋については一括して受付1回と数える
- 通常の処方箋を受け付けた場合と同様に、所定の要件を満たせば各種調剤報酬(調剤技術料、薬学管理料等)を算定できる
なお、リフィル処方箋に基づく調剤後、処方医へ文書で服薬状況等について情報提供を行った場合は「服薬情報等提供料1」または「服薬情報等提供料2のロ」を算定できます。

医療機関の求めがあり情報提供を行った場合は「服薬情報等提供料1」を、薬剤師が必要性を認め情報提供を行った場合は「服薬情報等提供料2」を算定できます。
疑義解釈
「リフィル処方箋により調剤した場合は、調剤した内容、患者の服薬状況等について必要に応じ処方医へ情報提供を行うこと」とされているが、この場合において、服薬情報等提供料は算定可能か。
算定要件を満たしていれば、服薬情報等提供料1又は2を算定可。
服薬情報等提供料については別記事でまとめているのでこちらを参考にしてください。
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服薬情報等提供料1・2・3の算定要件まとめ【令和6年(2024年)度改定】
続きを見る
リフィル処方箋の調剤後は?

リフィル処方箋による調剤を行った際は、以下のように対応します。
リフィル処方箋の調剤後
【調剤済処方箋の記載と保管】
- リフィル処方箋の所定の記載欄に「調剤日」「次回調剤予定日」、余白または裏面に調剤を実施した「保険薬局の名称」「保険薬剤師の氏名」を記載
- リフィル処方箋の総使用回数に満たない場合はリフィル処方箋の写しを調剤録とともに保管し、原本は患者さんに返却(※写しは3年間保管)
- リフィル処方箋の総使用回数の調剤が終わった場合は、調剤済処方箋として原本を保管
- リフィル処方箋での2回目以降の調剤及びオンライン服薬指導において、薬局側で処方箋原本を保管しておくことも可能
【患者さんへの対応】
- 継続的な薬学的管理指導のため同一の保険薬局で調剤を受けるべきである旨を説明
- 患者さんの次回の調剤を受ける予定を確認し、次回の来局希望があるにもかかわらず来局がない場合は、電話等により状況確認を行う
- 患者さんが次回の調剤を他薬局で受けることを申し出た場合は、調剤の状況とともに必要な情報を当該他薬局に提供または当該情報を記録したものを患者に提供
【処方医への対応】
- 患者さんの服薬状況等からリフィル処方箋により調剤を行うことが不適切と判断した場合は調剤を行わず、受診勧奨を行い処方医に情報提供を行う
- リフィル処方箋により調剤した場合は、必要に応じ、調剤した内容、患者さんの服薬状況等について処方医へ情報提供を行う
- 処方医へ必要な情報を文書により提供し要件を満たせば、服薬情報等提供料を算定可能
調剤済処方箋の記載と保管
リフィル処方箋を調剤した後は、
- リフィル処方箋の所定の記載欄に、「調剤日」「次回調剤予定日」
- リフィル処方箋の余白または裏面に、調剤を実施した「保険薬局の名称」「保険薬剤師の氏名」
を記載します。

リフィル処方箋の使用回数が残っている場合は、必要事項が記入されたリフィル処方箋の写しを調剤録とともに薬局で保管し原本は患者さんに返却します。
リフィル処方箋の総使用回数の調剤が終わった場合は、調剤済み処方箋としてリフィル処方箋の原本を薬局で回収し調剤録ととも薬局でに保管します。
このとき、リフィル処方箋の写しについて、当該リフィル処方箋の写しに係る調剤の終了日から3年間保管が必要です。
疑義解釈
リフィル処方箋の写しは、いつまで保管する必要があるのか。
当該リフィル処方箋の写しに係る調剤の終了日から3年間保管すること。
また、リフィル処方箋での2回目以降の調剤及びオンライン服薬指導において、薬局側で処方箋原本を保管しておくことも可能との回答がでています。
今年度から導入されたリフィル処方箋による調剤を行う際、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」では、リフィル処方箋(原本)に調剤日等を記載し、そのリフィル処方箋の原本を患者に返却する旨定められている。
この結果、患者が在宅でリフィル処方箋を利用してオンライン服薬指導及び薬剤の受領を行いたい場合、(初回調剤の際に医療機関から薬局に直接送付された)リフィル処方箋の原本を薬局から受領し、2回目以降の調剤の際にも当該原本を薬局に送付し、その後返却してもらうというやり取りが生じる。
このような手間は患者及び薬局の双方にとって煩雑であり、結果として、リフィル処方箋を利用する際のオンライン服薬指導が利用しにくい状況となっているとの指摘がある。
そのため、リフィル処方箋の場合のオンライン服薬指導において処方箋原本のやり取りが生じることのないよう、薬局でリフィル処方箋原本を保管することを認める必要があると考えるが、厚労省の方針を御教示願いたい。服薬指導を行う手段が対面であるか、オンラインであるかに関わらず、医薬品の不正入手を防止するため、薬局の薬剤師は処方箋原本に基づき調剤をすることとしており、これはリフィル処方箋であっても同様です。
リフィル処方箋は、当該薬局において調剤済みとならない場合は患者に返却することとしていることから、2回目以降の調剤でオンライン服薬指導を行う場合には、患者からの処方箋の郵送等により、薬局は原本を入手した上で調剤を行うことが原則となります。
ただし、お尋ねのような場合については、リフィル処方箋による調剤においては患者の服薬状況、状態の変化、副作用の発現等を丁寧に確認し必要に応じて受診勧奨を行わなければならないことを踏まえつつ、患者又はその家族等の意向を確認し、薬局側で処方箋原本を保管しておき、同じ薬局で2回
目以降も調剤及びオンライン服薬指導を行うことは可能です。(※この時点では所有者は患者であるため、薬局では保有ではなく保管です。
患者さんへの対応
患者さんへは、継続的な薬学的管理指導のため同一の保険薬局で調剤を受けるべきである旨を説明します。
患者さんの次回の調剤を受ける予定を確認し、次回の来局希望があるにもかかわらず予定される時期に患者さんが来局しない場合は、電話等により状況確認を行います。
患者さんが次回の調剤を他薬局で受けることを申し出た場合は、調剤の状況とともに必要な情報を当該他薬局に提供または当該情報を記録したものを患者に提供します。
処方医への対応
リフィル処方箋により調剤を行うにあたり、患者さんの服薬状況等の確認を行い、リフィル処方箋により調剤を行うことが不適切と判断した場合は調剤を行わず、受診勧奨を行うとともに処方医へ情報提供を行います。
また、リフィル処方箋により調剤した場合は、必要に応じ、調剤した内容、患者さんの服薬状況等について処方医へ情報提供を行います。
このとき、要件を満たせば「服薬情報等提供料」を算定可能です。

医療機関の求めがあり情報提供を行った場合は「服薬情報等提供料1」を、薬剤師が必要性を認め情報提供を行った場合は「服薬情報等提供料2」を算定できます。
「服薬情報等提供料」の算定には文書による情報提供が必要です。

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服薬情報等提供料1・2・3の算定要件まとめ【令和6年(2024年)度改定】
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疑義解釈
「リフィル処方箋により調剤した場合は、調剤した内容、患者の服薬状況等について必要に応じ処方医へ情報提供を行うこと」とされているが、この場合において、服薬情報等提供料は算定可能か。
算定要件を満たしていれば、服薬情報等提供料1又は2を算定可。