地域支援体制加算は、かかりつけ薬剤師が機能を発揮し、地域医療に貢献する薬局の体制等を評価した加算です。
一定の開局時間や在宅体制整備などの施設要件とかかりつけ薬剤師指導料の算定回数などの実績要件を満たし、必要な届出を行った場合に地域支援体制加算を算定できます。
令和6年度改定では、地域支援体制加算の点数のほか実績要件や施設要件にも変更がありました。
ここでは、地域支援体制加算の算定要件とポイントをまとめました。
本記事でわかること
- 地域支援体制加算の算定要件(実績要件と施設要件)
- 地域支援体制加算の疑義解釈
- 地域支援体制加算の令和6年度改定での変更点
地域支援体制加算の概要

地域支援体制加算は1~4の4区分にわかれており、点数は以下のようになっています。

地域支援体制加算1・2は「調剤基本料1」を、地域支援体制加算3・4は「調剤基本料1」以外を算定する薬局が算定できます。

ただし、「特別調剤基本料B」を算定する薬局は地域支援体制加算を算定できません。
「特別調剤基本料A」を算定する薬局では、所定点数の100分の10に相当する点数を算定します。

地域支援体制加算の算定要件は、1~4の区分ごとに決められた実績要件と全区分に共通の施設要件で構成されています。

実績要件と施設要件を満たし、届出を行うことで地域支援体制加算を算定できるようになります。
地域支援体制加算の算定要件①実績要件

地域支援体制加算1・2・3・4の区分ごとの実績要件は以下のようになっています。

地域支援体制加算1・2の実績要件
「地域支援体制加算1」「地域支援体制加算2」は、調剤基本料1を算定している薬局が対象です。
地域支援体制加算1・2の実績要件
- 地域支援体制加算1:以下の①~⑩のうち④を含む3項目以上
- 地域支援体制加算2:以下の①~⑩のうち8項目以上
- 時間外等加算、夜間・休日等加算:40回以上
- 麻薬の調剤実績:1回以上
- 重複投薬・相互作用等防止加算、在宅患者重複投薬・相互作用等防止加算:20回以上
- かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料:20回以上
- 外来服薬支援料1:1回以上
- 服用薬剤調整支援料1及び2:1回以上
- 在宅実績:24回以上
- 服薬情報等提供料:30回以上
- 小児特定加算:1回以上
- 多職種と連携する会議への出席:1回以上/年
(⑩は直近1年間の実績、①~⑨は直近1年間の処方箋受付回数1万回あたりの実績(処方箋受付回数が1万回未満の場合は、1万回とみなす))
(出典:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和6年3月5日 保医発0305第6号|厚生労働省)
「地域支援体制加算1」は上の①~⑩のうち「④かかりつけ薬剤師指導料」を含む3項目以上を、「地域支援体制加算2」は上の①~⑩のうち8項目以上を満たす必要があります。
地域支援体制加算3・4の実績要件
「地域支援体制加算3」「地域支援体制加算4」は、調剤基本料1または特別調剤基本料B以外を算定している薬局が対象です。
地域支援体制加算3・4の実績要件
- 地域支援体制加算3:以下の①~⑩のうち④及び⑦を含む3項目以上
- 地域支援体制加算4:以下の①~⑩のうち8項目以上
- 時間外等加算、夜間・休日等加算:400回以上
- 麻薬の調剤実績:10回以上
- 重複投薬・相互作用等防止加算、在宅患者重複投薬・相互作用等防止加算:40回以上
- かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料:40回以上
- 外来服薬支援料1:12回以上
- 服用薬剤調整支援料1及び2:1回以上
- 在宅実績:24回以上
- 服薬情報等提供料:60回以上
- 小児特定加算:1回以上
- 多職種と連携する会議への出席:5回以上/年
(⑩は直近1年間の実績、①~⑨は直近1年間の処方箋受付回数1万回あたりの実績(処方箋受付回数が1万回未満の場合は、1万回とみなす))
(出典:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和6年3月5日 保医発0305第6号|厚生労働省)
「地域支援体制加算3」は上の①~⑩のうち「④かかりつけ薬剤師指導料」「⑦在宅実績」を含む3項目以上を、「地域支援体制加算2」は上の①~⑩のうち8項目以上を満たす必要があります。
地域支援体制加算の実績要件の注意点
基準を満たすかの判定について
⑩は直近1年間の実績が基準を満たすか否かで判定します。
①~⑨は当該薬局における直近1年間の実績が、直近1年間の処方箋受付回数を各基準に乗じて1万で除して得た回数以上であるか否かで判定します。
[直近1年間の実績]≧[直近1年間の処方箋受付回数]×[各規準]÷ 1万
ここで、「直近1年間の処方箋受付回数」については以下のように取り扱います。
- 新規届出及び区分変更の場合は、直近1年間の実績を用いる
- 施設基準に適合するとの届出をした後は、前年5月1日から当年4月末日までの実績を用いる
- 直近1年間の処方箋受付回数が1万回未満の場合は、「1万回」とみなして計算する
なお、同一グループの薬局勤務者及びその家族の処方箋は、処方箋受付回数から除外した上で計算します。
在宅の実績要件について
⑦の在宅の実績としては、単一建物診療患者が1人の場合の以下の指導料・指導費を算定した場合の算定回数の合計を計算します。
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者緊急時等共同指導料
- 居宅療養管理指導費
- 介護予防居宅療養管理指導費
(ただし、いずれもオンラインの場合を除く)
在宅協力薬局として連携した場合(同一グループ薬局に対して業務を実施した場合を除く)や同等の業務を行った場合も実績回数に含めることができます。
なお、「同等の業務」とは、在宅患者訪問薬剤管理指導料で規定される患者1人当たりの同一月内の算定回数の上限を超えて訪問薬剤管理指導業務を行った場合を含みます。
服薬情報等提供料の実績要件について
⑧の「服薬情報等提供料」の実績には、「服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、相当する業務を行った場合」を含めることができます。
「服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、相当する業務」には、以下のものが当てはまります。
- 服薬管理指導料及びかかりつけ薬剤師指導料の「特定薬剤管理指導加算2」及び「吸入薬指導加算」(文書により情報提供した場合に限る)
- 調剤後薬剤管理指導料
- 服用薬剤調整支援料2
- かかりつけ薬剤師指導料を算定している患者に対し、服薬情報等提供料の算定に相当する業務を実施した場合
「かかりつけ薬剤師指導料を算定している患者に対し服薬情報等提供料の算定に相当する業務を実施した場合」については、調剤録や薬歴等に詳細を記載するなどして、服薬情報等提供料の算定に相当する業務を実施したことが遡及して確認できるようにしておく必要があります。
ただし、特別調剤基本料Aを算定している薬局では、区分番号00に掲げる調剤基本料の「注6」に規定する厚生労働大臣が定める保険医療機関へ情報提供を行った場合は実績回数に含めることができません。
かかりつけ薬剤師包括管理料を算定する患者について
かかりつけ薬剤師包括管理料を算定する患者については、
- 薬剤調製料の麻薬を調剤した場合に加算される点数(②)
- 重複投薬・相互作用防止等加算、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料(③)
- 外来服薬支援料1(⑤)
- 服用薬剤調整支援料(⑥)
- 服薬情報等提供料(⑧)
に相当する業務を実施した場合には、当該業務の実施回数を実績として算定回数に含めることができます。
この場合、調剤録や薬歴等に詳細を記載するなどして、これらに相当する業務を実施したことが遡及して確認できるようにしておく必要があります。
地域の多職種と連携する会議について
地域の多職種と連携する会議については、以下のような会議が該当します。
- 地域ケア会議
- サービス担当者会議
- 退院時カンファレンス
疑義解釈
地域支援体制加算の施設基準における「地域の多職種と連携する会議」とは、どのような会議が該当するのか。
次のような会議が該当する。
- ア 介護保険法第 115 条の 48 で規定され、市町村又は地域包括支援センターが主催する地域ケア会議
- イ 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条第9号で規定され、介護支援専門員が主催するサービス担当者会議
- ウ 地域の多職種が参加する退院時カンファレンス
「地域の多職種と連携する会議」への参加実績は、非常勤の保険薬剤師が参加した場合も含めて良いか。
良い。ただし、複数の保険薬局に所属する保険薬剤師の場合にあっては、実績として含めることができるのは1箇所の保険薬局のみとする。
在宅移行初期管理料を算定した場合について
患者宅で残薬の調整等を行った場合について、在宅移行初期管理料を算定した場合、外来服薬支援料1に相当する業務として地域支援体制加算の実績要件に含めることはできません。
疑義解釈
地域支援体制加算の施設基準において、これまで患者宅で残薬の調整等を行った場合は外来服薬支援料1を算定することで、地域支援体制加算の実績要件に含めることができたが、在宅移行初期管理料を算定した場合に、外来服薬支援料1に相当する業務として地域支援体制加算の実績要件に含まれるような取扱いはできないのか。
できない。在宅移行初期管理料は、地域支援体制加算の実績要件に含まれない。
地域支援体制加算の算定要件②施設要件

地域支援体制加算1・2・3・4全区分に共通の施設要件は以下のようになっています。

施設要件は10項目に分けられています。
- 地域における医薬品等の供給拠点としての体制
- 休日、夜間を含む薬局における調剤・相談応需体制等の対応
- 在宅医療を行うための関係者との連携等の体制
- 医療安全に関する取組の実施
- かかりつけ薬剤師指導料に係る届出
- 患者ごとに薬剤服用歴の作成、服薬指導の実施
- 管理薬剤師の要件
- 研修実施計画の作成と研修の実施
- 患者のプライバシーへの配慮
- 地域医療に関連する取組の実施
地域における医薬品等の供給拠点としての体制
地域における医薬品等の供給拠点としての体制として以下を満たす必要があります。
- 1200品目以上の医薬品を備蓄
- 地域の他薬局(同一グループを除く)に在庫状況の共有、医薬品の融通
- 医療材料及び衛生材料を供給できる体制
- 麻薬小売業者の免許取得と指導実施体制
- 処方箋集中率が85%超えの場合は、後発医薬品の使用割合が70%以上
- 取り扱う医薬品に係る情報を随時提供できる体制
(出典:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和6年3月5日 保医発0305第6号|厚生労働省)
一定以上の品目数の医薬品の備蓄、他薬局との医薬品の融通などが挙げられます。
令和6年度改定で、「地域の他薬局に在庫状況の共有、医薬品の融通」の要件が追加されました。
また、令和6年度改定で、「処方箋集中率85%以上の薬局の後発医薬品の使用割合」について50%から70%以上へ変更されました。
取り扱う医薬品に係る情報としては、以下情報を随時提供できる体制である必要があります。
- 一般名
- 剤形
- 規格
- 内服薬にあっては製剤の特徴(普通製剤、腸溶性製剤、徐放性製剤等)
- 緊急安全性情報、安全性速報
- 医薬品・医療機器等安全性情報
- 医薬品・医療機器等の回収情報
休日、夜間を含む薬局における調剤・相談応需体制等の対応
休日、夜間を含む薬局における調剤・相談応需体制等の対応として以下を満たす必要があります。
- 平日8時間以上/日、土日のいずれかに一定時間以上開局、週45時間以上開局
- 開局時間外(休日、夜間含む)でも調剤及び在宅業務に対応できる体制
- 患者さんからの相談に対応できる体制
- 地域の行政機関、医療機関、訪問看護ステーション、福祉関係者等に対して、休日、夜間を含む開局時間外でも調剤及び在宅業務に対応できる体制の周知
(出典:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和6年3月5日 保医発0305第6号|厚生労働省)
一定時間以上の開局、開局時間外でも対応できる体制などが挙げられます。
令和6年度改定で、「地域の行政機関、医療機関、訪問看護ステーション、福祉関係者等に対して、休日、夜間を含む開局時間外でも調剤及び在宅業務に対応できる体制に係る周知」の要件が追加されました。
自局や同一グループで十分に周知することに加え、地域の行政機関や薬剤師会等を通じて十分に周知することが求められています。
周知すべき情報の具体的な内容としては、次のようなものが挙げられます。
- 休日、夜間に対応できる薬局の名称、所在地
- 対応できる日時(開局日、開局時間)
- 連絡先等(地域ごとに、輪番制の対応も含め、具体的な日付における休日、夜間対応できる薬局の情報を示すこと)
疑義解釈
地域支援体制加算、連携強化加算及び在宅薬学総合体制加算の施設基準において、地域の行政機関又は薬剤師会等を通じて各加算の要件に示す情報を周知することとされているが、どのように周知すればよいのか。
各加算の施設基準において求められる機能等について、地域の住民や行政機関、保険医療機関、訪問看護ステーション及び福祉関係者等が当該情報を把握しやすいよう、市町村や地区の単位で整理し、周知することが求められるため、保険薬局においては、当該薬局の所在地の地域でこれらの対応を実施することになる行政機関又は薬剤師会等と相談されたい。また、このような情報は定期的に更新されている必要があり、さらに、都道府県単位で集約して周知されていることがより望ましい。
各加算に関して周知すべき情報としては、各加算の要件に基づき、例えば以下のようなものが考えられるが、これらに限らず地域にとって必要な情報を収集及び整理すること。
- ○地域支援体制加算
- (当該加算で求めている周知すべき情報)
- 休日、夜間を含む開局時間外であっても調剤及び在宅業務に対応できる体制に係る情報
- (具体的な項目例)
- ・ 休日、夜間に対応できる薬局の名称、所在地、対応できる日時(開局日、開局時間)、連絡先等(地域ごとに、輪番制の対応も含め、具体的な日付における休日、夜間対応できる薬局の情報を示すこと)
- ○連携強化加算
- (当該加算で求めている周知すべき情報)
- 災害や新興感染症における対応可能な体制に係る情報
- (具体的な項目例)
- ・改正感染症法に基づく第二種協定指定医療機関としての指定に係る情報
- ・オンライン服薬指導の対応の可否
- ・要指導医薬品・一般用医薬品の取扱いに係る情報
- ・検査キット(体外診断用医薬品)の取扱いに係る情報
- ○在宅薬学総合体制加算
- (当該加算で求めている周知すべき情報)
- 患者の急変時等の開局時間外における在宅業務に対応できる体制に係る情報
- (具体的な項目例)
- ・開局時間外の在宅業務への対応の可否(対応可能な時間帯を含む。)
- ・医療用麻薬(注射薬を含む。)の取扱いに係る情報
- ・高度管理医療機器の取扱いの可否
- ・無菌製剤処理の対応の可否(自局での対応の可否を含む。)
- ・小児在宅患者(医療的ケア児等)の対応の可否
- ・医療材料・衛生材料の取扱いの可否
なお、既にこのような情報を地域で整理し、ホームページで公表しているものの、各加算で周知が求められる項目の一部が対応していない場合には、当面の間は、対応できていない情報を追加的にまとめた一覧を公表するなどの対応で情報を補完することでも差し支えない。
これに伴い「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和6年3月 28 日事務連絡)別添6の問2は廃止する。
地域支援体制加算、連携強化加算及び在宅薬学総合体制加算の施設基準に関し、各加算の要件に示す情報を地域の薬剤師会を通じて周知しているが、当該薬剤師会が会員のみを対象として当該情報を整理、収集して公表している場合、施設基準を満たしていることになるか。
加算の要件の対応として適切ではないため不可。当該加算を届け出る保険薬局が所在する地域において、地域の住民や行政機関、保険医療機関、訪問看護ステーション及び福祉関係者等が当該情報を把握しやすいよう、地域の薬剤師会等の会員であるか非会員であるかを問わず、市町村や地区の単位で必要な情報を整理し、周知されている必要がある。
地域支援体制加算、連携強化加算及び在宅薬学総合体制加算の施設基準において求められる薬局の機能等に係る情報の周知について、行政機関や薬剤師会等を通じた公表の手続を行っているが、これらの加算の届出時点では当該薬局の情報が公表されていない場合であっても届出を行うことは可能か。
届出要件を満たすために、保険薬局が所在する地域の行政機関や薬剤師会等に対して当該薬局が公表のための必要な手続きを行っており、情報が公表されることが担保されている場合には、届出時点で当該薬局の情報が公表されていなくても差し支えない。この場合、地域支援体制加算の届出にあたっては、上記内容が確認できる資料(例:公表のための手続を行ったメールの写し等)を添付すること。
また、届出後においては、必要な情報が速やかに公表されていることを確認しておくこと。
なお、「疑義解釈資料の送付について(その3)」(令和6年4月 26 日事務連絡)の別添5の問3のとおり、当該薬剤師会が会員のみを対象として当該情報を収集、整理し、公表している場合は、施設基準を満たさないことに留意すること。
また、「開局時間外(休日、夜間含む)の調剤及び在宅業務に対応できる体制」について、救急医療対策の一環として設けられている輪番制に参加している場合も含まれますが、年1回当番として輪番に参加する程度のものでは要件を満たしません。
要件を満たすためには、地域において輪番制が十分に機能するよう、定期的に休日・夜間の対応を行っている必要があります。
疑義解釈
地域支援体制加算の施設基準において、「休日、夜間を含む開局時間外であっても調剤及び在宅業務に対応できる体制が整備されていること。」とあり、「地域医療の確保の観点から、救急医療対策の一環として設けられている輪番制に参加している場合も含まれる。」とされているが、例えば年に1回当番として、輪番に参加する場合であって要件を満たすか。
満たさない。休日・夜間対応の具体的な頻度は地域の実情に応じて判断すべきものであるが、当該要件が地域医療の確保を評価する観点によるものであることに鑑みれば、形式的に輪番に参加している程度の頻度ではなく、地域において輪番制が十分に機能するよう、定期的に休日・夜間の対応を行うことが必要である。
在宅医療を行うための関係者との連携等の体制
在宅医療を行うための関係者との連携等の体制として以下を満たす必要があります。
- 診療所、病院、訪問看護ステーションと円滑な連携
- 保健医療サービス、福祉サービス担当者との連携体制
- 在宅実績 24回以上/年
- 在宅患者訪問薬剤管理指導の届出・体制整備・周知
(出典:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和6年3月5日 保医発0305第6号|厚生労働省)
在宅療養の支援に係る診療所・病院・訪問看護ステーション、保険医療・福祉サービス担当者との連携体制などが挙げられます。
また、「在宅実績が24回以上/年」については、以下の指導料・指導費を算定した場合の算定回数の合計を計算します。
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者緊急時等共同指導料
- 居宅療養管理指導費
- 介護予防居宅療養管理指導費
(ただし、いずれもオンラインの場合を除く)
在宅協力薬局として連携した場合(同一グループ薬局に対して業務を実施した場合を除く)や同等の業務を行った場合も実績回数に含めることができます。
なお、「同等の業務」とは、在宅患者訪問薬剤管理指導料で規定される患者1人当たりの同一月内の算定回数の上限を超えて訪問薬剤管理指導業務を行った場合を含みます。
医療安全に関する取組の実施
医療安全に関する取組の実施として以下を満たす必要があります。
- PMDAメディナビに登録
- プレアボイド事例の報告
- 副作用報告に係る手順書の作成、報告を実施する体制構築
(出典:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和6年3月5日 保医発0305第6号|厚生労働省)
PMDAメディナビへの登録、プレアボイド事例の報告などが挙げられます。
PMDAメディナビへの登録
「PMDAメディナビ」は、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が運営するメール配信サービスです。
医薬品・医療機器等の安全性に関する特に重要な情報が発出された際にタイムリーにその情報が配信されます。


PMDAメディナビの登録・利用は無料です。
プレアボイド事例報告
「薬局機能情報提供制度の考え方及び報告に当たっての留意点について」(令和5年11月1日付け医薬総発第1101第2号)に基づき、薬局機能情報提供制度において「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「有」として直近一年以内に都道府県に報告している必要があります。
① プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無
プレアボイドとは、Prevent and avoid the adverse drug reaction(薬による有害事象を防止・回避する)という言葉を基にした造語であり、医療機関では一般社団法人日本病院薬剤師会においても薬剤師が薬物療法に直接関与し、薬学的患者ケアを実践して患者の不利益(副作用、相互作用、治療効果不十分など)を回避あるいは軽減した事例をプレアボイドと称して報告を収集し、共有する取組が行われているが、近年では、医療機関だけではなく、薬局における副作用等の健康被害の回避症例等も収集し、当該情報を医療機関等の関係者と連携して共有する取組も行われている。薬局においてこのような取組に参加し、事例の提供を行っている場合は「有り」とし、それ以外の場合は「無し」とする。
また、当該項目に該当する取組として、2(2)(ⅱ)の薬局医療安全対策推進事業におけるヒヤリ・ハット事業の「参加薬局」として登録を行うだけではなく、報告期日の前年1年間に、疑義照会により処方変更がなされた結果、患者の健康被害や医師の意図した薬効が得られないことを防止するに至った事例を報告した場合も「有り」として差し支えない。(出典:薬局機能情報提供制度の考え方及び報告に当たっての留意点について 令和5年11月1日付け医薬総発第1101第2号)
以下のいずれかを行っている場合に、「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「有」とすることができます。
- 薬局における副作用等の健康被害の回避症例等を医療機関等の関係者と連携して共有する取り組みに参加し、事例の提供をおこなっている場合
- ヒヤリ・ハット事業の「参加薬局」として登録し、報告期日の前年1年間に、疑義照会により処方変更がなされた結果、患者の健康被害や医師の意図した薬効が得られないことを防止するに至った事例を報告した場合
ヒヤリ・ハット事業への参加登録及び事例報告は、公益財団法人日本医療機能評価機構の「薬局ヒヤリハット事例収集・分析事業」で行うことができます。
この際、報告期日の前年1年間に事例報告を行う必要があること、疑義照会により処方変更がなされたプレアボイド事例であることに注意が必要です。
>>薬局ヒヤリハット事例収集・分析事業|日本医療機能評価機構
副作用報告に係る手順書の作成
副作用報告に係る手順書の作成にあたっては、日本薬剤師会の「薬局における医薬品・医療機器等安全性情報報告制度への取組みについて(実施手順等の作成のための手引き)」が参考になります。
疑義解釈
地域支援体制加算の施設基準の要件の一つである副作用報告に係る手順書を作成するにあたり参考とすべき資料はあるか。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号)第 68 条の 10 第 2 項に基づく副作用報告について日本薬剤師会が作成した「薬局における医薬品・医療機器等安全性情報報告制度への取組みについて(実施手順等の作成のための手引き)」を参考にされたい。
かかりつけ薬剤師指導料に係る届出
- かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出の実施
(出典:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和6年3月5日 保医発0305第6号|厚生労働省)
地方厚生(支)局長に対して「かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出」を行っている必要があります。
「かかりつけ薬剤師指導料」については、別記事でまとめているのでこちらもご覧ください。
-
-
かかりつけ薬剤師指導料とは?算定要件を解説【令和6年(2024年)度改定】
続きを見る
患者ごとに薬剤服用歴の作成、服薬指導の実施
- 患者ごとに薬剤服用歴の作成、服薬指導の実施
(出典:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和6年3月5日 保医発0305第6号|厚生労働省)
患者さんごとに薬剤服用歴を作成し、必要な薬学的管理を行い、服薬指導を行っている必要があります。
管理薬剤師の要件
管理薬剤師の要件として以下を満たす必要があります。
- 5年以上の保険薬局勤務経験
- 当該保険薬局に週32時間以上勤務、継続して1年以上在籍
(出典:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和6年3月5日 保医発0305第6号|厚生労働省)
管理薬剤師は、「5年以上の保険薬局勤務経験」「当該薬局に週32時間以上勤務」「当該薬局に継続して1年以上在籍」の要件を満たす必要があります。
研修実施計画の作成と研修の実施
- 研修実施計画の作成と研修の実施
(出典:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和6年3月5日 保医発0305第6号|厚生労働省)
調剤従事者等の資質の向上を図るため、研修実施計画を作成し研修を実施するとともに、定期的に外部の学術研修(地域薬剤師会等が行うものを含む)を受けさせていることが求められます。
併せて、薬学等に関する団体・大学等による研修認定の取得、医学薬学等に関する学会への定期的な参加・発表、学術論文の投稿等も推奨されています。
患者のプライバシーへの配慮
- 患者のプライバシーへの配慮
(出典:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和6年3月5日 保医発0305第6号|厚生労働省)
患者さんとの会話のやりとりが他の患者さんに聞こえないようパーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど、患者のプライバシーに配慮していることが求められます。
併せて、必要に応じて椅子に座った状態で服薬指導等を行うことができる体制を有していることが推奨されています。
地域医療に関連する取組の実施
地域医療に関連する取組の実施として以下を満たす必要があります。
- 要指導医薬品及び一般用医薬品を販売(48薬効群)
- 健康相談又は健康教室の実施
- 緊急避妊薬を備蓄
- 薬局の敷地内が禁煙、たばこ及び喫煙器具を販売していない
(出典:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和6年3月5日 保医発0305第6号|厚生労働省)
令和6年度改定にて、「要指導医薬品及び一般用医薬品の販売」「緊急避妊薬の備蓄」「薬局の敷地内禁煙」「たばこ及び喫煙器具の販売禁止」の要件が新設されました。
要指導医薬品及び一般用医薬品の販売
要指導医薬品及び一般用医薬品の販売においては、健康サポート薬局の届出要件とされている48薬効群の医薬品全てを備蓄しておく必要があります。
疑義解釈
地域支援体制加算の施設基準において、要指導医薬品及び一般用医薬品の販売は、「48 薬効群の品目を取り扱うこと」とされているが、48 薬効群の医薬品全てを薬局で備蓄しておく必要があるのか。
そのとおり。購入を希望して来局する者の求めに応じて、適切な医薬品が提供できるよう、薬局に必要かつ十分な品目を常備している必要がある。
また、ドラッグストアなど調剤薬局に併設して物販の方で要指導医薬品及び一般用医薬品を販売している場合、薬局でこれらを販売できる体制であれば要件を満たすものとして問題ないとされています。
疑義解釈
地域支援体制加算の施設基準における要指導医薬品及び一般用医薬品について、保険薬局に併設される医薬品の店舗販売業(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第 25 条第1号に基づく許可を有する店舗をいう。)において、これらの要指導医薬品等の全部又は一部を取り扱っている場合について、どのように考えればよいか。
当該保険薬局において要指導医薬品及び一般用医薬品の販売を求めていることから、販売にあたっての相談応需や指導、情報提供等の対応は薬局で行うことが必要であるが、薬局で要指導医薬品等を販売できる体制であれば、これらの品目を併設される医薬品の店舗販売業に備蓄しているものを用いることは差し支えない。
なお、要指導医薬品等の販売にあたっては、購入を希望して来局する者が、症状等に応じた医薬品が適切に選択できるよう、また、当該薬局を利用している患者であれば当該患者の服薬状況を一元的、継続的に把握することを前提に、必要な指導及び情報提供を行うこと。
緊急避妊薬の備蓄
緊急避妊薬を備蓄するとともに、緊急避妊薬を必要とする方への相談体制や調剤を行う体制を整備していることが求められます。
届出に際し、調剤の実績はなくても問題ありません。
なお、オンライン診療に伴う緊急避妊薬の調剤等の対応も適切に行うことができるよう、「「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を踏まえた緊急避妊に係る診療の提供体制整備に関する薬剤師の研修について(依頼)」に基づく研修を受講していることが望ましいとされています。
疑義解釈
地域支援体制加算について、緊急避妊薬を備蓄するとともに、当該医薬品を必要とする者に対する相談について適切に応需・対応し、調剤を行う体制を整備していることとされているが、届出にあたっては調剤の実績が必要となるか。
不要。なお、当該医薬品を必要とする者が来局した際に直ちに対応できる体制を常に整備しておく必要がある。
地域支援体制加算の施設基準において、「オンライン診療に伴う緊急避妊薬の調剤等の対応も適切に行えるようにするため、「「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を踏まえた緊急避妊に係る診療の提供体制整備に関する薬剤師の研修について(依頼)」(令和2年1月 17 日医薬・生活局総務課長通知)に基づく緊急避妊薬を調剤する薬剤師に対する研修を受講していることが望ましい。」とされているが、研修を受講せずに緊急避妊薬を備蓄している場合であっても要件をみたすか。
オンライン診療に伴い薬局で緊急避妊薬を入手する必要がある者も想定されるため、可能な限り都道府県薬剤師会が開催する研修を受講しておくことが望ましい。なお、都道府県薬剤師会における研修の実施状況により受講することが困難である場合には、今後研修が開催された場合の薬剤師の受講計画を作成しておくこと。
また、緊急避妊薬は単に備蓄していれば要件を満たすものではなく、利用者への相談体制の整備や、地域における相談窓口等を把握しておくことが必要である。
たばこ及び喫煙器具の販売禁止
薬局及び薬局に併設される医薬品の店舗販売業において、たばこ及び喫煙器具を販売していないことが要件になっています。
ここでいう「たばこ」とは、以下のものを指します。
- 製造たばこ(葉たばこを原料の全部又は一部とし、喫煙用、かみ用又はかぎ用に供し得る状態に製造されたもの)
- 製造たばこ以外のもので、喫煙用に供されるもの
疑義解釈
地域支援体制加算の施設基準において、「たばこ及び喫煙器具を販売していないこと。」が要件とされているが、この場合における「たばこ」とは何を指すのか。
健康増進法(平成 14 年法律第 103 号)第 28 条第1号にいう「たばこ」が該当する。また、同法の規制対象とならない喫煙器具であっても、薬局は医療法における医療提供施設であることに加え、地域支援体制加算が地域医療に貢献すること等への評価であることを踏まえ、その取扱いについては適切に対応されたい。
(出典:疑義解釈資料の送付について(その1)令和6年3月28日事務連絡)
健康増進法
第二十八条
一 たばこ たばこ事業法(昭和五十九年法律第六十八号)第二条第三号に掲げる製造たばこであって、同号に規定する喫煙用に供されるもの及び同法第三十八条第二項に規定する製造たばこ代用品をいう。
たばこ事業法
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
三 製造たばこ 葉たばこを原料の全部又は一部とし、喫煙用、かみ用又はかぎ用に供し得る状態に製造されたものをいう。
第38条 製造たばこ代用品は、これを製造たばことみなしてこの法律の規定を適用する。
2 前項に規定する製造たばこ代用品とは、製造たばこ以外の物であつて、喫煙用に供されるもの(大麻取締法(昭和23年法律第124号)第1条に規定する大麻、麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第2条第1号に規定する麻薬、あへん法(昭和29年法律第71号)第3条第2号に規定するあへん並びに医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第1項に規定する医薬品及び同条第2項に規定する医薬部外品を除く。)をいう。
地域支援体制加算の届出

地域支援体制加算の施設基準に係る届出は、別添2の様式87の3及び様式87の3の2を用いて行います。





前年5月1日から当年4月末日までの実績をもとに当年6月の最初の開庁日までに届出を行うことで、当年6月1日から算定することができます。
また、当年6月1日から翌年5月末日までの間に新たに施設基準に適合し届出を行った場合は、届出のあった月の末日までに要件審査を終え、届出を受理した場合は、翌月の1日から翌年の5月末日まで算定することができます。
地域支援体制加算の令和6年度改定での変更点

令和6年度(2024年度)改定では、地域支援体制加算の「点数」「実績要件」「施設要件」についてそれぞれ変更がありました。
「点数」の変更点
令和6年度改定では、地域支援体制加算の点数が1~4全ての区分で7点減点されました。

「実績要件」の変更点
令和6年度改定で、実績要件に関して主に以下の変更がありました。
- 「小児特定加算」が新設
- 調剤基本料1を算定する薬局の実績要件が緩和
小児特定加算に関する実績要件が新しく追加されたほか、調剤基本料1を算定する薬局について実績として求められる算定回数が緩和されました。
調剤基本料1以外を算定する薬局の実績要件は、令和4年度(2022年度)改定とほぼ変わりありません。

「施設要件」の変更点
令和6年度改定で、施設要件に関して主に以下の変更がありました。
- 「要指導医薬品及び一般用医薬品の販売」が新設
- 「緊急避妊薬の備蓄」が新設
- 「薬局の敷地内禁煙、たばこ及び喫煙器具の販売禁止」が新設。
健康サポート薬局の届出要件とされている48薬効群全てのOTC医薬品を備蓄・販売していることのほか、緊急避妊薬の備蓄及び相談応需体制の整備、薬局の敷地内禁煙、たばこ及び喫煙器具の販売禁止が施設要件として新しく追加されました。