「服用薬剤調整支援料」はポリファーマシー解消を目的とした減薬への取り組みを評価した点数で、減薬提案や、提案の結果減薬を達成した際に算定できる薬学管理料です。

平成30年(2018年)度改定で新設されました。
ここでは、服用薬剤調整支援料について算定要件とポイントをまとめました。
本記事でわかること
- 服用薬剤調整支援料1と2の違いは?
- 服用薬剤調整支援料1の算定要件は?
- 服用薬剤調整支援料2の算定要件は?
服用薬剤調整支援料1・2の概要

服用薬剤調整支援料は、ポリファーマシー解消を目的とした点数で、減薬提案や、提案の結果減薬を達成した際に算定できる薬学管理料です。

「服用薬剤調整支援料」は、地域支援体制加算を取得するための要件の一つにもなっています。
服用薬剤調整支援料には1と2があり、算定要件と点数が異なります。

減薬提案を行い減薬にまで至った場合は「服用薬剤調整支援料1」を、提案のみにとどまった場合は「服用薬剤調整支援料2」を算定できます。
服用薬剤調整支援料1(125点)

算定要件
服用薬剤調整支援1の算定要件は以下のようになっています。
服用薬剤調整支援料1(125点)
6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、処方医に対して、保険薬剤師が文書を用いて提案し、当該患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に、月1回に限り所定点数を算定する。ただし、区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、算定できない。
服用薬剤調整支援料1の算定要件
- 内服薬6種類以上(内服開始後4週間以上経過)を薬局で調剤している患者さんが対象。
- 患者さんの意向を踏まえ、服薬アドヒアランス及び副作用の可能性等を検討した上で、処方医に減薬提案を行い、当該薬局で調剤している内服薬の種類数が2種類以上減少(うち少なくとも1種類は当該薬局の薬剤師が提案)し、その状態が4週間以上継続した場合に算定。
- 調剤報酬明細書の摘要欄に、医療機関名及び医療機関における調整前後の薬剤の種類数を記載。
- 内服薬の種類数の計算では、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤については、1銘柄ごとに1種類として計算する。
- 屯服薬、服用を開始して4週間以内の薬剤、浸煎薬、湯薬は、内服薬の種類数に含めない。
- 同一薬効分類の有効成分を含む配合剤や内服薬以外への変更は、減薬数に含めない。
- 副作用の可能性の検討等では、以下を参考にする。
- 「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」(厚生労働省)
- 「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))」(厚生労働省)
- 「病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」(厚生労働省)
- 日本老年医学会の関連ガイドライン(高齢者の安全な薬物療法ガイドライン)
- 薬歴には、減薬に係る患者さんの意向、提案に至るまでに薬学的見地から検討した内容を記載する。
- 医療機関から提供された処方内容の調整結果に係る情報は、薬歴に添付する等して保存する。
- 服用薬剤調整支援料1に係る提案を行った直後に受け付けた当該処方医の発行した処方箋に関しては、実施した服用薬剤調整支援料1の提案内容と同一の処方内容の場合において、重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は算定できない。
- 当該薬局で服用薬剤調整支援料1を1年以内に算定した場合においては、前回の算定に当たって減少した後の内服薬の種類数から更に2種類以上減少したときに限り、新たに算定できる。
(出典:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知) 令和6年3月5日 保医発0305第4号 別添3 調剤報酬点数表に関する事項 |厚生労働省)
服用薬剤調整支援料1は、内服薬6種類以上(内服開始後4週間以上経過)が処方されている患者さんについて、処方医へ文書で提案を行い、2種類以上減薬、かつその状態が4週間以上継続した場合に算定できます(月1回まで)。
内服薬の種類数の数え方
服用薬剤調整支援料1は、内服薬6種類以上(内服開始後4週間以上経過)が処方されている患者さんが対象となります。
内服薬の種類数は、以下のように計算します。
- 錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤については、1銘柄ごとに1種類として計算
- 屯服薬、服用開始後4週間以内の薬剤、浸煎薬、湯薬は、内服薬の種類数に含めない
錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤については、1銘柄ごとに1種類としてカウントします。
ただし、屯服薬、服用開始後4週間以上以内のもの、浸煎薬、湯薬は、内服薬の種類数の計算から除外します。
疑義解釈
服用薬剤調整支援料に規定する内服薬に、浸煎薬及び湯薬は含まれないと理解してよいか。
貴見のとおり。
減薬数の数え方
服用薬剤調整支援料1を算定するには、内服薬の種類数が2種類以上減少、かつその状態が4週間以上継続する必要があります。
このとき、
- 減少した内服薬のうち2種類以上は自薬局で調剤
- 減少した内服薬のうち1種類以上は自薬局の薬剤師が提案
したものであること、
- 同一薬効分類の有効成分を含む配合剤や内服以外への変更は減薬数に含めない
ことに注意が必要です。

配合剤への変更では減薬数にカウントできません。
また、減薬は一度に2種類以上行われなくても問題ありません。
減薬の提案を行った日以降に、内服薬の種類数が2種類以上減少し、その状態が4週間以上継続した時点で算定できます。
疑義解釈
服用薬剤調整支援料について、内服薬の種類数は2種類以上同時に減少する必要があるか。同時でなくてもよい場合、内服薬の種類数の減少はいつを起点とすればよいか。
同時でなくてよい。保険薬剤師が減薬の提案を行った日以降に、内服薬の種類数が2種類以上減少し、その状態が4週間以上継続した場合に算定する。

段階的な減薬でも「2種類以上」「減薬した状態で4週間以上継続」の要件を満たした時点で服用薬剤調整支援料1を算定できます。
薬歴の記載
薬歴には、以下内容を記載・記録します。
- 減薬に係る患者の意向
- 減薬の提案に至るまでに薬学的見地から検討した内容
- 医療機関から提供された調整結果の情報
補足
「医療機関から提供された調整結果の情報」とは?
医療機関側では、6種類以上の内服薬が処方された患者さんで内服薬が2種類以上減少した場合に「薬剤総合評価調整管理料」を算定できます。
この算定要件には、「保険薬局からの提案を踏まえて、処方内容の評価を行い、処方内容を調整した場合には、その結果について当該保険薬局に情報提供を行う。」と記載されています。
薬局において服用薬剤調整支援料1を算定する場合、基本的に医療機関側は薬剤総合評価調整管理料の算定要件を満たすことになるため、医療機関から情報提供がなされることが想定されます。
医療機関から調整結果の情報提供があった場合は、薬歴等に添付する等して保管するようにしましょう。
(参考:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)令和6年3月5日保医発0305第4号 別添1 医科診療報酬点数表に関する事項|厚生労働省)
調剤報酬明細書の摘要欄の記載
調剤報酬明細書の摘要欄には、「医療機関名及び医療機関における調整前後の薬剤の種類数」を記載します。
【記載例】 ○○市立病院にて○種類から○種類に調整。○○医院にて○種類から○種類に調整。
算定時の注意点
- 服用薬剤調整支援料1の提案内容と同一の処方内容の場合において、重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は算定できない。
- 服用薬剤調整支援料2を算定した後に、服用薬剤調整支援料1の要件を満たしたとしても、服用薬剤調整支援料1は算定できない。
- 服用薬剤調整支援料1を1年以内に算定した場合においては、前回の算定に当たって減少した後の内服薬の種類数から更に2種類以上減少したときに限り、新たに算定できる。
令和6年度改定にて、「服用薬剤調整支援料1に係る提案を行った直後に受け付けた当該処方医の発行した処方箋に関しては、実施した服用薬剤調整支援料1の提案内容と同一の処方内容の場合において、重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は算定できない。」との文言が追加されました。
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重複投薬・相互作用等防止加算の算定要件まとめ【令和6年(2024年)度改定】
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また、服用薬剤調整支援料2を算定後に、2種類以上減薬し、服用薬剤調整支援料1の算定要件を満たしたとしても服用薬剤調整支援料1は算定できません。
重複投薬等の解消に係る提案を行い、服用薬剤調整支援料2を算定した後に、当該提案により2種類の薬剤が減少して服用薬剤調整支援料1の要件を満たした場合には、服用薬剤調整支援料1も算定できるか。
算定できない。
服用薬剤調整支援料1を算定してから1年を経過していない場合、前回の算定に当たって減少した内服薬の種類数から更に2種類以上減少した場合に限り、新たに服用薬剤調整支援料1を算定できます。
服用薬剤調整支援料2(イ:110点/ロ:90点)

算定要件
服用薬剤調整支援2の算定要件は以下のようになっています。
服用薬剤調整支援料2(イ:110点/ロ:90点)
- イ:別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険薬局において行った場合 110点
- ロ:イ以外の場合 90点
- 複数の保険医療機関から6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、患者又はその家族等の求めに応じ、当該患者が服用中の薬剤について、一元的に把握した結果、重複投薬等が確認された場合であって、処方医に対して、保険薬剤師が当該重複投薬等の解消に係る提案を文書を用いて行った場合に、3月に1回に限り所定点数を算定する。ただし、区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、算定できない。
- 区分番号00に掲げる特別調剤基本料Aを算定する保険薬局において、別に厚生労働大臣が定める保険医療機関への情報提供を行った場合は、算定できない。

服用薬剤調整支援料2の「イ」は、「重複投薬等の解消に係る実績がある場合」に算定できます。
「イ」の施設基準については、このあとの項目で詳しく解説します。

服用薬剤調整支援料2の算定要件
- 複数の医療機関から内服薬が合計で6種類以上処方(うち少なくとも1種類は当該薬局で調剤)されている患者さんが対象。
- 患者さん若しくはその家族等の求めに応じて、重複投薬等の解消のために以下の取組を全て行った場合に算定。
- 患者さんの服用薬を一元的に把握。
- 重複投薬等のおそれがある場合には、重複投薬等の解消に係る提案を検討し、報告書を作成し、処方医へ送付。
- 内服薬の種類数の計算では、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤について、1銘柄ごとに1種類として計算する。
- 屯服薬、服用を開始して4週間以内の薬剤、浸煎薬、湯薬は、内服薬の種類数に含めない。
- 報告書は、以下の内容を含む別紙様式3又はこれに準ずるものをいう。
- 受診中の医療機関、診療科等に関する情報
- 服用中の薬剤の一覧
- 重複投薬等に関する状況
- 副作用のおそれがある患者の症状及び関連する薬剤
- その他(残薬、その他患者への聞き取り状況等)
- 重複投薬等の解消に係る提案を行う場合、患者さんの希望、かかりつけ医の有無、処方開始日等について十分な聞き取りを行った上で、処方内容の見直しを依頼する処方医に対して報告書を送付する。
- 処方内容の見直し状況について、患者さんの次回以降の来局時に確認する。
- 重複投薬等の解消に係る提案を行った場合は、当該文書の写しを薬歴等に添付する等して保存する。
- 服用薬剤調整支援料2に係る提案を行った直後に受け付けた当該処方医の発行した処方箋に関しては、実施した服用薬剤調整支援料2の提案内容と同一の処方内容の場合において、重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は算定できない。
- 服用薬剤調整支援料2の算定に係る医療機関への情報提供については、服薬情報等提供料を別途算定できない。
- 服用薬剤調整支援料2は、特別調剤基本料Aを算定している保険薬局において、当該薬局と不動産取引等その他特別な関係を有している医療機関へ情報提供を行った場合は算定できない。
(出典:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知) 令和6年3月5日 保医発0305第4号 別添3 調剤報酬点数表に関する事項 |厚生労働省)
服用薬剤調整支援料2は、複数の医療機関から内服薬が合計6種類以上(うち少なくとも1種類は当該薬局で調剤)が処方されている患者さんについて、患者さんの服用薬を一元的に把握し、重複投薬等の解消に係る提案を、処方医へ文書で行った場合に算定できます(3月に1回まで)。
施設基準
服用薬剤調整支援料2の「イ(110点)」を算定するには、以下の施設基準を満たす必要があります。
以下の施設基準を満たさない場合は、「ロ(90点)」を算定することになります。
服用薬剤調整支援料2のイの施設基準
- 重複投薬等の解消に係る実績として、服用薬剤調整支援料1の算定要件に相当する実績が過去1年間に1回以上あること。
- 前年5月1日から当年4月30日までの重複投薬等の解消に係る実績をもって該当性を判断し、当年6月1日から翌年5月31日まで適用する。
(新規指定薬局の場合は、指定された日に属する月の翌月から、当年5月末までの実績で判断) - 服用薬剤調整支援料1を算定していない場合においても、重複投薬等の解消に係る提案及び実績について、薬剤服用歴の記録に記載する必要あり。
- 服用薬剤調整支援料2のイに係る取扱いについては、当該基準を満たしていればよく、特に地方厚生(支)局長に対して、届出を行う必要はない。
(出典:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和6年3月5日 保医発0305第6号|厚生労働省)
内服薬の種類数の数え方
服用薬剤調整支援料2は、複数の医療機関から合計で内服薬が6種類以上(少なくとも1種類は自薬局で調剤)が処方されている患者さんが対象となります。
内服薬の種類数の考え方は、「服用薬剤調整支援料1」と同じです。
- 錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤については、1銘柄ごとに1種類として計算
- 屯服薬、服用開始後4週間以内の薬剤、浸煎薬、湯薬は、内服薬の種類数に含めない
報告書への記載と様式
患者さんの服用薬を一元的に把握し、重複投薬等のおそれがある場合には、重複投薬等の解消に係る提案を記載した報告書を作成し、処方医へ送付します。
報告書は、以下の内容を含むようにします。
- 受診中の医療機関、診療科等に関する情報
- 服用中の薬剤の一覧
- 重複投薬等に関する状況
- 副作用のおそれがある患者の症状及び関連する薬剤
- その他(残薬、その他患者への聞き取り状況等)
- 重複投薬等の解消に係る提案

「重複投薬等の解消に係る提案」とは、重複投薬の状況や副作用の可能性等を踏まえ、処方される薬剤の種類数の減少に係る提案をいいます。
また、重複投薬等の解消に係る提案を行う場合、患者さんの希望、かかりつけ医の有無及び処方開始日等について十分な聞き取りを行った上で、処方内容の見直しを依頼する処方医に対して報告書を送付するようにします。
様式は、別紙様式3又はこれに準ずるものを用います。

疑義解釈
医療機関に提供する患者の重複投薬等に係る報告書における「現在服用中の薬剤の一覧」については、一覧表に記載することに代えて手帳の写しを添付することで差し支えないか。
患者が服用中の全ての薬剤を容易に把握できる一覧を作成することが目的であることから、手帳の写しの添付では不十分である。このため、要件を満たさない。
服用薬剤調整支援料2について、内服薬に限らず、内服薬と外用薬の重複投薬の状況や副作用の可能性等を踏まえ、患者に処方される薬剤の種類数の減少に係る提案を行った場合は算定できるか。
患者に処方される内服薬の種類数の減少に係る提案を行った場合は、その他の要件を満たせば算定できる。
薬歴への記載
薬歴へは、処方医へ送付した文書(重複投薬等の解消に係る提案を行った報告書)の写しを添付する等して保存します。
算定時の注意点
- 服用薬剤調整支援料2の提案内容と同一の処方内容の場合において、重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は算定できない。
- 服用薬剤調整支援料2の算定に係る医療機関への情報提供については、服薬情報等提供料を別途算定できない。
- 服用薬剤調整支援料2を算定した後に、服用薬剤調整支援料1の要件を満たしたとしても、服用薬剤調整支援料1は算定できない。
- 服用薬剤調整支援料2は、特別調剤基本料Aを算定している保険薬局において、当該薬局と不動産取引等その他特別な関係を有している医療機関へ情報提供を行った場合は算定できない。
令和6年度改定にて、「服用薬剤調整支援料2に係る提案を行った直後に受け付けた当該処方医の発行した処方箋に関しては、実施した服用薬剤調整支援料2の提案内容と同一の処方内容の場合において、重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は算定できない。」との文言が追加されました。
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重複投薬・相互作用等防止加算の算定要件まとめ【令和6年(2024年)度改定】
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服薬情報等提供料は、服用薬剤調整支援料2の算定に係る医療機関への情報提供では算定できません。
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服薬情報等提供料1・2・3の算定要件まとめ【令和6年(2024年)度改定】
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また、服用薬剤調整支援料2を算定後に、2種類以上減薬し、服用薬剤調整支援料1の算定要件を満たしたとしても服用薬剤調整支援料1は算定できません。
重複投薬等の解消に係る提案を行い、服用薬剤調整支援料2を算定した後に、当該提案により2種類の薬剤が減少して服用薬剤調整支援料1の要件を満たした場合には、服用薬剤調整支援料1も算定できるか。
算定できない。
服用薬剤調整支援料2は、敷地内薬局→敷地内医療機関への情報提供では算定できません。